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対談

ヨンデミー✖️スプリンギン 開発者対談【前編】

ヨンデミー✖️スプリンギン 開発者対談【前編】

「ヨンデミー」の開発者である笹沼社長と、「Springin'(スプリンギン)」の開発者であるしくみデザイン代表の中村俊介が、この度のコンテスト開催に向けて対談を行いました。コンテスト受賞のヒントだけでなく、読書そのものに対する知見にも影響を与えてくれる、2人のトークをぜひご覧ください!

 

「読書」を生きるためのスキルとして習う

 

中村:まずは「ヨンデミー」ってなんですか?から聞いていきましょうか。

笹沼:ヨンデミーはすごくざっくり言うと「読書がめちゃめちゃ楽しくなる習い事」なんです。

中村:アプリなんですよね?

笹沼:そうですね、「アプリを使った習い事」です。アプリにはヨンデミー先生というAIキャラクターがいて、自分におすすめの本を教えてくれたり、感想を送ったり、本の楽しみ方を教えてくれたり。それがLINEで話すみたいにチャットでやり取りできるんです。例えるならジムのパーソナルトレーナーみたいに、一緒に読書を楽しんでくれる先生なんです。

中村:なるほどなるほど!

笹沼:最近難しい本も読めるようになったね、となったら次はもっと難しい本をおすすめしてくれたり。難しい本ばかりも大変だから、難易度を下げた本で休憩を入れてくれたりと、負荷のコントロールもしてくれるんです。

中村:本当にパーソナルトレーナーですね!

笹沼:ヨンデミーには、このAI先生と別にもう一つ大きな特徴があって、ゲーム仕立てになっているというのがポイントです。 

中村:というと?

笹沼:ヨンデミーでは、ポケモンだったらポケモンマスターを目指すのと同じように、子供達が伝説の読書家を目指すというストーリーがあるんですよ。あなたは選ばれた読書家です。あなたは幻の巨大図書館にいて、今はさびれてしまっているんだけど、本をたくさん読むと本が救われていって、本が救われると図書館が蘇ると。どんどん上の階に登っていき、最上階に行った時にあなたは伝説の読書家になれると。ヨンデミー先生以外にも色んなキャラクター達が登場して、一緒に本を救っていきます。

中村:いきなり「本を読め」とかじゃないんですね!

笹沼:そうです。最初、本はおすすめされるんですが、読まなくてもいい。1日1回「ミニレッスン」というのがあって、まずはヨンデミー先生とチャットでやりとりするだけでもいいんです。ソシャゲの会話イベントみたいな感じですね。内容は本について考えることだったり、他のキャラクターのサイドストーリーだったり。この世界に入り込んで楽しんで貰うんですね。

中村:なるほど。でもアプリで本をおすすめされても、本自体はアプリに入ってないわけですよね?

笹沼:そうですね。それは図書館で借りて頂くことになるんですけど、最初の登録の時に最寄りの図書館を登録できるようになっていて、そこで借りられる本の中からおすすめされます。最寄りになくても、地域の図書館ではお取り寄せもできたりするので、周辺図書館の本からもおすすめされます。ユーザーさんはアプリから図書館の予約サイトに飛んで、ポチポチと予約すれば、数日後にカウンターに行けば受け取れるというわけです。

中村:それはやっぱり図書館がいいんですか?買うんじゃなくて。

笹沼:買ったら大変です(笑)毎日読む事になるんで

中村:まぁそうですよね(笑)

笹沼:中には中古本屋を利用してるユーザーさんもいますけど、図書館はタダなので。最悪読まなくてもいい。面白くなかったら途中でやめてもいいよって言ってるんですよ。
 
中村:あ、借りたからには絶対読みなさい!じゃないんだ

笹沼:つまらないと思ってる本を読むのは意味がないので。世の中には無限に本があるから、もっと面白い本を探すのに時間を使おうよ!というコミニケーションをしています。

 

中村:ターゲットの年齢層はどれくらいなんですか?

笹沼:ユーザーさんは早いと5、6才から。大体は小学生〜中3くらいまでですね。実は年齢では区切ってなくて、読み聞かせ卒業の時期から、ハリー・ポッターが読めるくらいまでという感じです。習い事を始めるのって小学校低学年が多いじゃないですか。なので自然とそこが多くなってる印象です。

中村:やっぱり習い事、と思って欲しい。

笹沼:それがイメージに近いと思います。ピアノとか水泳を習うイメージで。水泳って心肺機能を鍛えるとかもそうですけど、大事なのが「大人になって溺れて死なないように」って一定 あるじゃないですか(笑)読書もそれと同じで、読解力がつくとかもあるんですけど、「大人になって文章を読み書きする必要が出てきた時に、文字が怖くないように」(笑)大人になってからでも上達できないわけじゃないけど、小さい時に好きになっておけば、大人になっても文章読んだり書いたりするのが楽だよと。なので、「習い事」という位置付けをしています。

中村:めっちゃわかります!

笹沼:本お好きですか?

中村:めちゃめちゃ読みます。小さい時、毎週図書館で借りられる限界まで借りていました。大人になってからも移動時間は本を読まないと気持ちが悪いので、部屋が本だらけです(笑)
だから大人になって本が読めない人に会って、なんで読めないのか理由を聞いたら「小さい頃読んでなかったから大人になっても読めないです」と言っていて。そういうもんなんだ!と思いました。

笹沼:そうなんですよね

中村:スプリンギンもすごく思想が近くて、小さい時に勉強しなさい、プログラミングやりなさい、将来役に立つからって言われたら嫌いになっちゃう。そうじゃなくて、コンピューターやITを使ってモノを「作るのが楽しい!」という体験を子供達にしてほしい。プログラミングはそのための道具なんだよと伝えたい。

笹沼:おっしゃる通りですね。スプリンギンはハードルを下げるために「失敗がない」ように設計されていますよね。僕たちも同じで、いきなりハリー・ポッターを読めなんて言わない。

中村:いきなりC言語(プログラミング言語)書けと言ってるようなものですよね(笑)

笹沼:そこはAIがお子さんの読解力を一冊一冊分析して、レベルが上に行き過ぎない調整をしてます。

 

「読書」の機会を失っている子供たち

 

中村:ヨンデミーのサービスを作ろうと思った、そもそものきっかけって何ですか?

笹沼:本当の最初の最初のきっかけは「思ったよりみんな本読んでないな」って思った事ですね(笑)大学生時代に小学生のお子さんの家庭教師をやっていたんですけど、全家庭から聞かれたんですよ「先生は小さい頃どんな本を読んでましたか?」「なんで本好きになったんですか?」って。その話を大学で友人に話したら、結構な割合でみんな同じこと聞かれてて。

中村:東大出身ですもんね。東大生が読んでいた本!とか本屋に特集されていたりしますよね。

笹沼:家庭教師を頼むくらい教育的に熱心なご家庭でも、みんな子供が本を読まなくて悩んでいる状況。ということは、そうじゃない家庭はもう・・・壊滅的というか(笑)

中村:なるほど

笹沼:なぜ読まないのか理由を聞いてみたら、YouTubeだと。昔から本って、好きな子と嫌いな子がいたじゃないですか。読む子は読むけど、読まない子は読まない。でも今は、昔だったら本が好きだったであろう子が、ごっそりYouTubeに取られてるっていう感覚なんですよ。

中村:あー、確かにそうでしょうね!

笹沼:だから僕たちのターゲットは実は「本を読むのが嫌いで性に合わないです」という人たちではなくて、実は本が好きになれる素養があるのに、読書の機会を失っている人達なんです。それこそ読み聞かせとかは9割くらいの家庭がされていると言われていて、週3以上読む家庭も6割以上とかいるんですよ。

中村:そうなんですか?!

笹沼:そういう意味ではみんな本に触れてきているし、本を楽しむ土壌を持ってる。だけど自分で本を読むとなった段階で、動画に行っちゃってる。

中村:確かに読み聞かせからだと、動画の方が近くて行きやすいでしょうね。

笹沼:僕らのユーザーの子達も、「本は好きだよ」って言うんです。「でもYouTubeはその100倍好きだよ」って(笑)

中村:なるほど!(笑)

笹沼:そういう子達が「読書」という行為が好きになる、それを支えてあげることに価値があると感じました。

 

「読書」の楽しさは教えられる

 

中村:でもそこからサービス化するって大変ですよね。

笹沼:実は元々、英語で読書の指導をしていたんですよ。

中村:それはなぜですか?

笹沼:「英語多読」という学習方法があって。日本人が子供の頃から日本語で本を読んでいくのと同じように、英語で絵本から、それこそハリー・ポッターのような本まで、現地の人と同じように読書体験を積めばネイティブレベルに近い英語が身に付けられるんじゃないっていう、結構脳筋な学習方法で(笑)だって日本人が日本語習う時に単語帳とか使わないでしょ?

中村:確かに!そんな方法があるんですね!

笹沼:それの講師をやっていたんですよ。本も好きじゃない、英語もはじめてな中学生とか高校生に、ひたすら英語の本をおすすめしていくのが仕事なんです。

中村:それはリアルな場ですよね?

笹沼:ですです。教室が英語の図書館になっていて、最初は幼児向けの絵本をどんどん読むことから始める。そのうちペーパーバックの薄い本になっていって。そしたらその子の興味とレベルに合わせておすすめしていく。そういう指導をずっとやっていたんですが、みんな本の楽しみ方を知らないだけで、教えてあげたら「楽しい!」って読み始めるんですよ。ここをサポートしてあげたら全然違うんだ、というのが原体験としてありました。

中村:なるほど。

笹沼:読書好きの人って「読書は教えられるもんじゃない」って思ってる人がほとんどだと思うんですよ。

中村:わかる(笑)勝手に始まってますからね。

笹沼:でも本の読み方を教えるって、読解方法とかじゃないんですよね。本を楽しめるような環境づくりとか本選びサポートとか、そういうものを作れたらいいなと。

 

 

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